古代の起源
まず――
「アマゾネス」とは何か、ご存知でしょうか?
アマゾネスとは、古代ギリシャ神話に登場する女性だけで構成された戦士の部族です。
彼女たちは、男性に従属することを拒み、自らの社会を築き上げたとされます。
武器を手にして戦場に立ち、馬に乗り、弓を引き、剣をふるう――
ギリシャの英雄たち、たとえばヘラクレスやアキレウスといった屈強な男たちと、堂々と渡り合った存在でした。
実際の歴史上でも、黒海沿岸のスキタイ系民族の女性たちが、男たちと共に戦に赴いたという記録があります。
つまり、アマゾネスは単なる神話ではなく、ある種の「理想化された女性戦士像」として、現実と神話の間に存在していたのです。
そしてもう一人、注目すべき存在がいます。
それが「アタランテ」――こちらもギリシャ神話の女性です。
アタランテは、類い稀な美貌と驚異的な俊足を持つ女性でした。
多くの男たちが彼女を妻に望みましたが、アタランテはこう告げます。
「私より足の速い男でなければ、結婚しない。負けた者は命を失う」と。
男たちは次々と敗れ、倒れていきました。
つまりこれは、力と美を兼ね備えた女性に、男が挑み、敗れる物語でもあります。
アマゾネスとアタランテ――
これらの神話は、ただの昔話ではありません。
女性が男性と同等、あるいはそれ以上の力を持ち、男たちを屈服させるという、
一種の倒錯的ファンタジーとして、古代から語り継がれてきたのです。
この「女が男を打ち負かす」という構図は、後のカーニバル文化や現代のミックスレスリングへと、確かに受け継がれていきます。
次回は、いよいよ舞台をアメリカへ。
観客の男たちが、自ら進んでリングに上がり、プロの女性レスラーに挑んだ――
1930年代のカーニバル文化をご紹介します。
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