時が流れて冬が終わり 新春になります。
春は、多くの新生活。「パイナップルジャム」にも新入生が入ります。
可愛い娘、入らないかなって勧誘に精をだしていましたが、 これが、なかなか苦戦しているようでした。
シュンはあれからケイコと深い仲を気づきあげ、ヨウスケは、ナナと付き合っています。
そんな中、最大のミックスファイターがこの「パイナップルジャム」に入ってきたのです。
それがマサキ君です。
大きな美しい瞳にさわやかな笑顔、抱きしめたら折れそうな細身のショートボブの美男子が来たのです。 というか、最初に勧誘の声をかけたヨウスケは、マサキ君を女の子と思って声をかけたのです。 可愛い娘だな、ねえキミ、俺らと一緒に楽しまない?ウチは自由だし、飲み会の強制とかもないよと声をかけたら、返事の声色で「男」? と判明したのだ。
美少女の入部に歓迎モードだったが、残念、男でした・・・・・
とはいえ、カワイイ後輩が入り皆、嬉しかった。
新入生は、全部で約30名ほど入り、総数50名を超えるサークルに成長した。
と、そんな中、仲間内で ヨウスケやシュン、そして、例のマサキ君を含む複数名で女子プロレス団体ASWの試合を見に行くことになった。
良くも悪くも女子プロレスラーのファンが増えたのですね。 増殖です。
試合では、メインを勤めたケイコが苦闘の末、金網デスマッチで獄悪党の首領である女子プロ界最強の120キロある巨女ブルゴンをムーンサルトプレスで沈めた。
会場は大盛り上がりであったが、男性ファンが7,8割を占めていた。 ASWは、元々男性ファンが多いが、それでも約6割で女性より多いという程度だったが、このところ日増しに男性ファンが増えてきて観戦しやすくなった。
このところ、ケイコ他、新人も美形レスラーがそろいつつあり、男性ファンを取り込んでいる。 特にCDよりも写真集の売れ行きは凄まじく、ヘア解禁で一段とその売上と認知度を高めている。時代は強くて綺麗なオンナを求めているような空気である。
試合後、選手と販売所で握手ができる。 やや、オタクっぽい風貌の地味な中年男性がケイコの写真集を購入し、ファンサービスするケイコにサインと右手でがっちり握手をするシーンを見た。
そのオヤジは、挙動不審でしたが、キョロキョロ周囲を警戒しながら、写真集を持ちトイレへと向かった。
数分後スッキリした表情のオヤジが再びケイコに右手で握手を求め、ケイコはそれに健気に応じた。
ケイコの手には、精液の残臭がついた。
興奮するのだろう。 憧れの女子レスラーと握手できて、そのぬくもりが消えぬまま、そのぬくもりの中で写真集を見ながらのオナニー。そのぬくもりが残る手の中に精液を発射し、再び、今度はその射精を本人につける。 アイドルフェチとは、いつの時代でもこういう部類の人間である。
このシーンを見たシュンは、嘆いていた。 しかし、トイレに行けば、スペルマ臭が広がっていた・・・ そこには、シュンにとっては、ショッキングなケイコのプロレス雑誌の切り抜きも残としてあったのだった。 何人もの男達が抜いているのだろう・・・ さっきのオヤジも氷山の一角にすぎないのだ。
想像の中とは言え、ケイコは、男達の性の対象とされていたのだ。
こうした話しを、その日の夕食時に話すと、 「それは、わかってるわ、でも、それでも今は男性ファンも取り込んでいかないと運営がままならないの!」 あまりいい気分ではないシュンに色々とうちわけてくれ、ケイコが積極的に営業活動に参戦する姿を納得せざるを得ないのであった。
昨年、アメリカから帰国後、タニマチから性接待を強要されたケイコはそのタニマチに暴行を加えて、資金他の援助を受けられずASWは、経営困難に陥った。 ただ、向こうが暴行を加えようとして、それに反撃する正当防衛での範囲内であり、訴えられる範疇には無いのだが・・・・
そうした背景もあり、必死なのだ。
それをシュンには、咎める事はできないのでした。
「それより、シュン、今日一緒につれてきた友達、すっごい可愛いね?」
「あ、ウチの新入生かな、マサキ君」
「そお、マサキ君って言うんだ、今度紹介しなさいよ!みんな凄い気になってたわよ、あの子に見つめられると試合に集中できないって」
「へえ、試合中に、そんなトコみてんだ」
「そりゃあ、そうよ。みんな男には飢えてるんだから。男は欲しくてたまんないのよ」
「ふーうーん、そういうもんなのか」
「ふふ、大丈夫よ、私はシュン一本だから、焼いてるの?」
「そんな事ないよ」
「ウソー、無理しないで、焼いてんでしょ」
「焼いてないってば!」
つづく
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